第311章

川崎正弘は島宮奈々未にじっと見つめられ、みるみる顔が赤くなった。

さっきの数秒のキス――あれは、彼にとってのファーストキスだったのだ。思い返してみれば、別に悪くない。むしろ、驚くほど柔らかかった。

野呂栞の、あの男勝りな性格からは想像もできないほど唇はふんわりとしていて、かすかな甘い香りまでした。

川崎正弘が赤面しているのを見て、さらに先ほど野呂栞が慌てた様子でトレーニングルームから飛び出してきた場面を思い出した島宮奈々未は、にやりとする。

「ねえ、正弘。あなたと栞……まさか、何かあったんじゃないの?」

「ないです!」川崎正弘は即座に否定して、視線を泳がせた。「義姉さん、俺、部屋に...

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